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古屋:
独立して3年目くらいかな。
佐藤:
そうだね。最初はガチャガチャを作ってなかったし、制作現場からも離れてたし。
そしたら、市場から生き物のフィギュアがなくなりそうになっていて。
「そろそろ何かしないとヤバいな」って話になって、危機感をもってスタートしたよね。
古屋:
そう。作るためのお金も少しだけど貯まってきてたし、そろそろやりたいものをね。
そのやりたいっていう気持ちを具現化したのがネイチャーテクニカラーなわけで。
それから最初の制作が始まったんだよね。
佐藤:
一番最初は「海洋Ⅰ」。ただただ、売れてくれ!って感じだったよね(笑)。
古屋:
そう。売れてくれないと困る(笑)。
そのためには、つながりが薄くなっていた流通とも縁を復活させないといけなくて。
佐藤:
2人とも現場から離れてたから、流通ともつながりがなくなってたもんね。

02

古屋:
だから全国の問屋さんに、二人で営業に行って。
佐藤:
挨拶回りしながら、『海洋Ⅰ』のプレゼンをして。
古屋:
反応は良かったよね。好意的だったし。
ただ当時は、ガチャガチャの業界自体が低迷し始めていた時期でもあった。
だから、受注は6万個くらいだったかな。それじゃ採算が合わないんだよ。
佐藤:
そう。制作費のことを考えると、だいたい8 万から10 万個は必要なんだよね。
古屋:
それで勝負かけて多めに作ったから、スタートは赤字だった(笑)。
佐藤:
それもかなり赤字だったよね(笑)。自分たちの給料を出せないくらい。
役員は給料をもらっていない時期があったりね。
古屋:
今でこそ、大丈夫だけど。当時は、それでもやってたよね。

03

佐藤:
やる意味があったから。それと、意地みたいなもんだよね。

04

古屋:
営業的な目線で言えば、クオリティの高さは業界内でもトップクラスだと思う。
だからこそ、そこを少しでも手を抜いてしまったら、資金のある大手さんに負けてしまう。やろうと思えば、いくらでもできるはずだからね。だから、負けないためにも職人の技術的な部分は譲れない。
佐藤:
確かに採算を気にしない訳にはいかないけど、それを理由に表現を妥協してしまうのはね。
それに業界内の評価を覆したいっていうのもあったし。
もっとクオリティの高いフィギュアを作りたい。自分なら作れる。そう思っていたからね。
独立したことで生産コストを自分たちで判断できるから、良いものを作って殴り込みをかけましょうっていう雰囲気もあった。
今もあるんだけど。ただ、やりきってみて、その評価を変えることができたのかなって思ってるよ。

05

古屋:
もちろん!ただね。やりすぎてしまって補正がきかないというか・・・。
佐藤:
後戻りできなくなってしまったね(笑)。
古屋:
採算が読めないぶん、利益を生む商品もやらなきゃいけない。
そうすると人が必要になる。人が増えるとコストも増える。
すごくアンバランスな感じ。それに生産の単価も上がってきたし。
佐藤:
なんとかしたいけどね。譲れないんだよね。
マニアの人だけじゃなくて、一般の人にもクオリティの高いものがあるんだって知ってほしいから。

06

古屋:
当時からフィギュアに込めている想いは変わっていないよね?
佐藤:
もちろん!子どもたちを喜ばせたいというか・・・。なんて言えばいいんだろう・・・。
要は動物園みたいなものなんだよね。フィギュアだから生きてはいないんだけど、いろんな角度から観察ができたり、リーフレットから動物たちの情報を得たりとか。

07

古屋:
教育的な感じ?
佐藤:
立体図鑑だと思っているからね。手に取ってみたり、観察したりして興味がわいてくる。
それで実物を見に行ってみようって。動物園や水族館とか。
まあ海でもいいんだけど。そういうきっかけになる要素を取り込んでるつもり。
それで実物を見ながらフィギュアを見て「ここ違うじゃん!」とか(笑)。
動物や植物って、なかなか見る機会ないし。
子どもも大人もフィールドへ出かけてほしい。
古屋:
アクションを起こす、ひとつのきっかけね。
佐藤:
そうなってほしいよね。
子どもたちにとってガチャガチャって身近なものだと思うけど、ここまでリアルなものはないし。それに大人でも、これまでに見たことのない動物や植物ってあるはずだからね。
だからといって普通に紹介するというか、ただ単に立体にするだけじゃ、作る側は面白くないんだよね。
古屋:
どれだけリアルな動きを出せるのか、意識しながら作ってるよね。
佐藤:
ポージングが難しいんだよ。いつも原型師さんと
「ああだ、こうだ」って言いながらやってるし。
例えば台座のやつだと、どうやって浮かせてやろうかって。
海で泳いでいるかのように見せるためにはどうしようってね。
古屋:
そうそう!・・・まあ、熱くなってきたけど、
その話は次回にしようか。
佐藤:
えっ!?それでもいいけど。
じゃあ、飲みにいこうか。

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